多くの3歳牝馬は桜花賞→オークス→秋華賞の牝馬三冠と言われるレースを目指します。
しかし、稀に勝算があるのか、ダービーに挑んでくる牝馬がいます。
この記事では、歴代参戦した牝馬たちの成績を検証しながら、過去にダービーを勝った牝馬たちに焦点を当てていきます。
牝馬がダービー馬になる確率は?歴代参戦した牝馬の成績は?
これまで牝馬でダービーに挑戦した馬は第1回のダービーから数えて、129頭います。
全129頭(2020年時点)の成績は[3.8.7.111]です。
牝馬がダービー馬になる確率は2.3%です。
しかし、牝馬が3番人気以内に推されること自体が珍しく、3番人気以内の牝馬の成績に限ると[2.3.3.8]です。
3番人気以内ということは、前走までの成績が評価されたり、内容的に期待がかかるものだったはずです。
3番人気以内の牝馬に限ると、勝率は12.5%まで上がります。
1996年にブエナビスタのお母さんのビワハイジもダービーに参戦していますが、結果は13着(9番人気)と牡馬の厚い壁に跳ね返されています。
牝馬の歴代ダービー馬
これまでの競馬の歴史上、牝馬でダービーを制覇した馬は3頭います(2020年現在)。
記憶に新しいところだとウォッカ(2007年)です。
当時、ウォッカは64年ぶりの快挙。
ウォッカの他2頭は、ヒサトモ(1937年)、クリフジ(1943年)で、かなり遡ることになります。
11戦11勝で日本競馬最多全勝記録を持つクリフジの陰に隠れて、ほとんど語られることが無くなったヒサトモですが、31戦16勝の戦績で、その能力に関しては「クリフジにも勝るとも劣らない偉大な競走馬」と評されている。
ウォッカは、その後安田記念連覇、天皇賞(秋)、ヴィクトリアマイル、ジャパンカップなど1600m~2400mのGⅠ7勝を挙げ、アーモンドアイ(GⅠ9勝)に抜かれるまで歴代GⅠ勝利数で1位タイでした。
2008・2009年と2年連続JRAの年度代表馬に選ばれるなどの活躍を見せました。
やはり、牝馬でダービーを勝つ馬は並外れた能力があるということなのでしょう。
おまけ:ウォッカの強さが分かる動画
牝馬がダービー制覇した年の牡馬は弱いのか?
2007年のウォッカが勝ったダービーの2~5着馬は下記の通りです。
2着:アサクサキングス
3着:アドマイヤオーラ
4着:サンツェッペリン
5着:ドリームジャーニー
この4頭のその後の主要なレースにおける成績を調べてみました。
ダービー着順 | 馬名 | 2007年 | 2008年 | 2009年 |
2 | アサクサキングス | 神戸新聞杯(GⅡ)2着 菊花賞(GⅠ)1着 | 天皇賞春(GⅠ)3着 宝塚記念(GⅠ)5着 | 京都記念(GⅡ)1着 阪神大賞典(GⅡ)1着 |
3 | アドマイヤオーラ | 鳴尾記念(GⅢ)3着 | 京都金杯(GⅢ)2着 京都記念(GⅡ)1着 | 京都金杯(GⅢ)4着 金鯱賞(GⅡ)5着 |
4 | サンツェッペリン | オールカマー(GⅡ)9着 菊花賞(GⅠ)14着 | マーチS(Ⅲ)16着 ディッセンバーS(OP)9着 | AJCC(GⅡ)12着 |
5 | ドリームジャーニー | 神戸新聞杯(GⅡ)1着 菊花賞(GⅠ)5着 | 小倉記念(GⅢ)1着 朝日チャレンジC(GⅢ)1着 有馬記念(GⅠ)4着 | 産経大阪杯(GⅡ)1着 天皇賞春(GⅠ)3着 宝塚記念(GⅠ)1着 有馬記念(GⅠ)1着 |
ウォッカが牝馬として64年ぶりに勝った2007年のダービーからは、2着アサクサキングスがその年の菊花賞を勝っています。
3着のアドマイヤオーラはGⅠには手が届きませんでしたが、4歳時に京都記念(GⅡ)を勝っています。
4着サンツェッペリンはその後の活躍こそなかったものの、皐月賞(GⅠ)2着、京成杯(GⅢ)1着とダービーまでは力を示しました。
5着のドリームジャーニーは、その後もGⅢ、GⅡなど重賞勝ちを増やし、5歳時には宝塚記念と有馬記念の同年グランプリ両制覇を達成しました。
ダービー時は13着に終わったローレルゲレイロも、5歳の時高松宮記念(GⅠ)とスプリンターズステークス(GⅠ)を制していることから、この世代がレベルが低かったとは言えません。
アーモンドアイに破られるまで、ウォッカがGⅠ勝利数歴代1位タイだったことを考えると、単純に「ウォッカという馬が強かった」と考えるのが妥当でしょう。
逆にこのような牝馬と同世代になってダービー馬になれなかった牡馬たちの方が不運だったと言えるかもしれません。
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