シルバーステートってそんなに凄かったでしたっけ?
セレクトセールではギエムの2020(父シルバーステート)が2億6,000万円で落札され、話題になりました。
シルバーステートの弟たちもセレクトセールでは、1億2,960万円、2億8,080万円、1億9,440万円で落札されています。
シルバーステートの兄弟姉妹も目立った活躍が見られませんが、なぜディープインパクトの後継種牡馬として大きな期待がかかるのでしょうか?
シルバーステートの競走馬時代の評判
シルバーステートは故障に苦しめられた馬でした。
2歳の秋に屈腱炎を発症し、4歳の春まで1年7か月に及ぶ長い休養、復帰後2連勝したものの、再び屈腱炎を発症。
ケガでクラシック出走がないものの、その素質の高さから「幻のダービー馬」や「未完の大器」と呼ばれています。
シルバーステートが現役時代の5戦全てで主戦を務めた福永祐一騎手のインタビューから、その素質を高く評価していたことがわかります。
とにかく規格外のエンジンを持っていた馬でした。排気量の大きさで言うと、今まで乗った馬の中で間違いなく一番で、その評価はコントレイルと出会った今でも変わりません。
シルバーステート自身はそのエンジンに身体がついていけなかったですが、その武器が産駒にどう伝わっていくのか、すごく楽しみです。
シルバーステートを管理した藤原英昭調教師は次のように語っています。
スピード、柔らかさ、すべてが揃った馬だった。
今までで一番と言ってきた馬。
シャフリヤールもエイシンフラッシュも凄いけど、シルバーステートも凄かった。
現役時代、シルバーステートの担当だった田代信行調教助手は、、、
もともと持っている能力は、かなりのものを感じていた。
現役時代も無事なら、もっと大きな所で走れた馬だったから
競馬にタラレバは禁句かもしれませんが、その走りは主戦騎手、管理に携わった関係者も「これまでで一番」と評価する馬だったのは間違いありません。
シルバーステート産駒はコスパがいい
シルバーステートはとにかくコスパがいいんです。
種付け料の推移は次のとおりです。
年度 | 種付け料 |
2018 | 80万円 |
2019 | 100万円 |
2020 | 120万円 |
2021 | 150万円 |
一般人には高い金額でも、種付け料としては破格の値段なんです。
参考に社台スタリオンステーションが発表している2021年度の種付け料を見てみましょう。
種牡馬名 | 種付け料 |
エピファネイア | 1,000万円 |
キズナ | 1,000万円 |
ドゥラメンテ | 1,000万円 |
モーリス | 800万円 |
サートゥルナーリア | 600万円 |
ブリックスアンドモルタル | 600万円 |
レイデオロ | 600万円 |
ナダル | 400万円 |
ルーラーシップ | 400万円 |
ハービンジャー | 400万円 |
オルフェーヴル | 350万円 |
シスキン | 350万円 |
アドマイヤマーズ | 300万円 |
ドレフォン | 300万円 |
キタサンブラック | 300万円 |
サトノダイヤモンド | 300万円 |
キンシャサノキセキ | 250万円 |
リアルスティール | 250万円 |
ミッキーアイル | 250万円 |
スワーヴリチャード | 200万円 |
ルヴァンスレーヴ | 150万円 |
イスラボニータ | 150万円 |
サトノクラウン | 150万円 |
サトノアラジン | 100万円 |
種牡馬は「自身の実績+期待値+産駒の実績」で種付け料が決まるところがあります。
「未完の大器」の名の通り、GⅠタイトルのないシルバーステートは自身の実績の面で劣るため、ほぼ期待値だけの種付け料と思っていいでしょう。
これから産駒が活躍すれば、種付け料も今のまま据え置きというわけにはいかなくなるでしょう。
重賞未勝利でもGⅠ馬を多数輩出した種牡馬もいる
過去には、ミスタープロスペクターやクリスエスのような重賞未勝利で成功した種牡馬もいます。
自身が故障などで早くに引退しても、種牡馬として成功したケースは多い ものです。
「自らが果たせなかったGⅠ勝利を子供たちに~」
これが競馬のロマンだという人もいます
ミスタープロスペクターは競走馬としては大成できませんでしたが、20世紀末で最も成功したと言われるミスプロ系を築き上げました。
クリスエスも現役時代は5戦3勝と目立った成績ではないものの、初期の段階でブリーダーズカップ(GⅠ芝2400m)で優勝馬を輩出しました。
その後も1993年の北米リーディングサイヤーに輝き、日本ではシンボリクリスエスが活躍するなど2002年に死亡するまで活躍場を出し続けました。
競馬は「ブラッド・スポーツ」と言われ、血統がとても大事にされます。
現役時代の能力を高く評価されているため、種牡馬として、その潜在能力に期待されているのでしょう。
まとめ
良血馬や期待馬が思ったほどの成績を残せないケースも多く存在します。
しかし、2021セレクトセールでギエムの2020(父シルバーステート)が2億6,000万円で落札されたように、目立った成績もなく、産駒実績もないのに高額になるというのは、期待値の高さが群を抜いて高いことの表れと言っていいでしょう。
シルバーステートの母シルヴァースカヤの子も軒並み高額で取引されたように、競馬では血をそれほどまでに重視するということです。
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