競馬を始めたてで、美浦の坂路で50秒切ることの凄さがわかりません。
どのくらい凄いことなのでしょうか?
競馬を始めて、馬券を買う際に調教タイムを参考にすることがあります。
競馬新聞などに「美浦坂路56.3ー40.9ー27.2ー13.2」と書いてあるのを目にすることがあると思います。
この記事では、美浦の坂路で50秒を切ることの凄さについて解説していきます。
ちなみに、坂路の調教計測区間は800m(4F)です。
美浦坂路調教で50秒切ることはどのくらい凄いのか?
下記は、ある日の美浦坂路の調教タイムトップ3です。
順位 | 馬名 | 条件 | 調教タイム |
1 | ベストアプローチ | オープン | 50.5 |
2 | ヒロイックアゲイン | オープン | 50.9 |
3 | ギベルティ | 1勝クラス | 51.2 |
別の日の美浦坂路の調教タイムトップ3です。
順位 | 馬名 | 条件 | 調教タイム |
1 | ロードオブイサチル | 未勝利 | 51.4 |
2 | アリンナ | オープン | 51.5 |
3 | シベール | 1勝クラス | 51.5 |
ここまで見て頂いてもわかるように、調教タイムで美浦の坂路を50秒切る馬はほとんどいません。
人間と同じで、単純に足が速い方がタイムは出ます。
小学生が100mを10秒台で走れませんよね?
ですので、基本的な考え方としては「調教タイムが速い=足が速い」と考えて問題ありません。
ただ、まだ1回も勝っていない未勝利馬でも、トップタイムが出せてしまうので「調教タイムが速い=レースでも強い」というほど単純でもないということです。
毎週のベスト調教として、競馬ブックwebで無料で公開されています。
美浦の坂路で50秒切る馬がほとんどいないのは、3つの理由があります。
- 調教には「15-15」と呼ばれるような軽い調教から、馬なり、強め、一杯と、かけたい負荷によって調教を調整しているので、毎回目一杯やっているわけではない
- 調教にのるのが、騎手(体重50kg)と調教助手(体重60kg)とでタイムにも影響が出る
- 調教時間帯によって、気温や湿度、地面の荒れ具合などが違う(前日から天気がいい、気温の高い季節で乾燥している、始めの方にタイムを計測した方荒れていないので走りやすいなど)
- そもそも800mの坂道を50秒切ることが難しい
1、2、3はなんとなく想像がつくでしょうか。
4は実際のレースの200mごとのラップタイムを見てみましょう。
検証するのは、阪神ダート1800m。
ダートで検証するのは、坂路と近い条件にするためです。
「残りの200mは急坂となっている」と書かれている。
阪神のコースの勾配は1.5%。
次の章で紹介しますが、美浦の坂路コースは0.625⇒3.0%⇒4.688%の勾配が設けられています。
つまり、美浦の坂路の方が勾配はキツイです。
そして、阪神ダート1800mの実際のレースラップがこちら。
最後の200m(1600m~1800m)にかけて、13.6秒かかっているのがわかります。
坂路のタイム計測区間は800mです。
800mを50秒切るには、200mごと12.5秒以内で走らなければいけません。
【美浦坂路調教コース】
・素材はアカマツとスギの混合材です
・表面に凹凸が出来やすく、また滑りやすい欠点があります
引用元:JRAホームページ【施設ガイド/美浦トレーニング・センター】
競馬場のダートコースと坂路調教コースでは砂と木材のチップという違いはありますが、美浦の坂路で50秒切る凄さが分かっていただけたでしょうか?
美浦の坂路と栗東の坂路の勾配の違い
美浦トレーニングセンターの坂路コースは、現在の高低差18mから、改修工事により33mと倍近くになります。
完成は2022年予定です。
計測スタート地点から、栗東の坂路の方が勾配がきついのがお分かりいただけるでしょうか。
競馬は長らく西高東低(西の方がレベルの高い馬が多く、東の馬はレベルが低い)と言われてきました。
実際に、GⅠレースなどの過去10年の成績を調べると、おおよそ関西馬7勝、関東馬3勝のような成績になっています。
その理由として、栗東と美浦の坂路の勾配の違いによるトレーニング効果の差が、関西馬の活躍に繋がっていたと言われています。
今はノーザンファーム天栄(福島県)などの外厩にも、坂路調教の施設(勾配)が整ったことで東西の差が縮まっていると考えられている。
まとめ
美浦の坂路で50秒切ることの凄さが分かっていただけましたか?
美浦坂路の歴代ベストはありませんでしたが、栗東坂路の調教タイムの歴代トップ5があります。
順位 | 馬名 | 坂路調教タイム |
1 | ジョイフルハート | 48.0 |
2 | ジョイフルハート | 48.5 |
2 | スリープレスナイト | 48.5 |
4 | ヴィクトリー | 48.6 |
5 | キャプテントゥーレ | 48.7 |
美浦の坂路より勾配のキツイ栗東で48.0が出るので、理論上50秒を切ることは不可能ではありません。
目一杯の調教を体重の軽い騎手が乗り、気温が高く乾燥している天候で、GⅠを勝つような能力のある馬という条件が揃えば可能でしょう。
ちなみに、栗東坂路の調教タイム歴代トップ5のうち、ジョイフルハートだけが重賞(GⅢ、GⅡ、GⅠ)勝ちがないオープン馬です。
スリープレスナイトはGⅢ2勝、GⅠ1勝。
ヴィクトリーはGⅠ1勝。
キャプテントゥーレはGⅢ2勝、GⅡ1勝、GⅠ1勝。
始めに行ったように、基本的な考え方としては「調教タイムが速い=足が速い」と考えて問題ありません。
コメント